彼女にも愛する人がいた

既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。

「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」

そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。

餓死だと? この王宮で? 

彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。

俺の背中を嫌な汗が流れた。

では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?

そんな馬鹿な…。信じられなかった。

だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。

「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。

彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。

俺はその報告に愕然とした。





















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